香りのパワー!香水がもたらす心理的・身体的効果とは? その2
今回の記事では特定の香りが特定の感情や状態を引き起こすことについて詳しく書いていきます。過去の論文や、実験結果などをもとに立証されたものを厳選して書いていくのでお楽しみに。このブログを読むことで、香水、キャンドル、お香、ルームフレグランス、柔軟剤など香りものを選ぶときに役立つのでぜひ参考にしてみてください。
①コーヒーについて10年以上研究をしてきた杏林大学医学部精神神経科の古賀良彦教授によると、コーヒーの香りはリラックス効果があると提言しています。実験で、コーヒーの香りを人に嗅がせたところ、リラックスしている際に後頭部から出る脳波 =α波(アルファ波)がでたそうです。
②東邦大学理学部の増尾好則教授の研究によると、コーヒーの香りを嗅がせたマウスは実験でストレスを与えても、学習・記憶に重要な海馬の神経成長因子受容体の遺伝子が盛んに働くという結果を明らかにしたそうです。つまりコーヒーの香りを嗅ぐとストレスに強くなることがわかりました。そもそもマウス自体コーヒーを飲まない生き物なのに驚きの結果となったそうです。
つまり、コーヒーの香りはストレスに強くなり、ストレスを和らげ、リラックス効果があることが分かりました。
一般的には、柑橘系の香りには気分転換やリフレッシュといった刺激作用があるとされています。その中でもグレープフルーツの香りは特にリラックス効果があるようです。
①山梨医大の論文によると、ストレスをかけた被験者にグレープフルーツの香りを提示したところ、不安の尺度を示す数値のSTAIがストレスをかけられる前よりも減少したそうです。グレープフルーツが不安の軽減の効果やリラックスの上昇にも効果があるとも示されました。
②新潟大学医学部の新島旭名誉教授の研究ではラットを使って匂い刺激が自律神経活動にどう影響するかを調べたところ、グレープフルーツの香りは交感神経活動を促進し、その結果、脂肪分解、代謝の促進を起こして心身の活動を高めたそうです。つまり、グレープフルーツの香りはダイエット効果も高めることが分かります。
①関西医療大学の論文によると実験で、ラベンダーの香りを人に嗅がせたところ、リラックスしている際に後頭部から出る脳波 =α波(アルファ波)がでたそうです。
② 鹿児島大の柏谷英樹講師らの研究によると、リナロール(ラベンダーの香りの主成分)を嗅がせたマウスと嗅がせていないマウスを箱に入れて観察。箱の中は明るいゾーンと暗いゾーンの2つに仕切られ、双方を行き来できるようにしたそうです。本来、夜行性のマウスは暗いところが落ち着くため、明るいところを避ける傾向がありますが、リナロールを嗅がせたマウスは嗅がせていないマウスに比べて、明るい区画に滞在する時間が約2倍長かったそうです。リナロールの匂いが不安を緩和し、滞在時間が長くなったそうです。
また、同大の発表によると香りの主成分「リナロール」が嗅覚を介して脳の中枢神経系に働き掛け、抗不安効果を生み出しているということがわかったそうです。
③ロンドンの老人病院での研究によると、睡眠薬を常用していた患者さんにラベンダーの香りを嗅いでもらったところ、眠りが深くなって徘徊がなくなり、日中は眠気が減ってスッキリ過ごせるようになったそうです。
つまり、ラベンダーにはリラックス効果や抗不安効果があり快眠できる可能性が高くなることが分かります。
無臭のお水とレモン、ラベンダーのアロマオイルを嗅がせて脳波を見る実験からは脳機能の活性度を示すP300という脳波(赤色の部分)を見ると、レモンでもっとも大きくなりました。星薬科大学・医学博士塩田清二教授によると、レモンの香りは脳の活動を活性化させる効果があり認知機能の改善にも役立つらしいです。勉強や仕事で集中したいときにもレモンの香りはおすすめですね。
川崎医療福祉大学、川崎医科大学、中村学園大学短期大学部の共同研究のマウスの実験によると、バニラの香り成分の「バニリン」に痛みや筋肉の緊張を和らげる働きがあることを明らかにしました。
つまり、意外にもバニラには鎮痛効果があることが分かりました。
「最新研究結果!レモンとバニラの香りでスピード感が変わる、驚きの結果」
情報通信研究機構(NICT)は2023年8月19日、心理物理実験とfMRI実験によって、香りで映像のスピード感が変わる新しいクロスモーダル現象を発見し、レモンの香りが伴うときは映像が遅く、バニラの香りが伴うときは映像が速く見えることが明らかになったと発表しました。ほとんどの方はバニラがゆっくり、レモンが速くなるという結果を予想していた中で意外性のある結果となりました。今後、この結果によりエンターテイメントの世界が役立てていくのではないかと思います。