不動産会社の選び方

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今回は不動産業務の中でも居住 用不動産賃貸仲介について重点的に、管理会社・仲介会社両方の経験を活かした目線でお話できればと思います。


不動産賃貸の流れ
賃貸物件を借りたことのある方が多いと思いますが、まずはお部屋探し開始から契約までの流れを簡単に見ていきましょう。


お部屋探し

↓(早ければ即日内見可能)
内見

↓(内見件数は4件前後がおすすめ)
申込・審査

↓(申込から約1週間)
契約・初期費用入金

鍵渡し(入居)

一番多い質問は、いつから物件を探し始めれば良いですか?です。

引っ越し理由はさまざまな ので一概には言えませんが、仮に6/1が更新、そのタイミングで引っ越しを検討しているとい う前提でお話しします。この場合はざっくり5/1頃からのお部屋探しをおススメします。基本 的に気に入った物件へ申し込みを入れてから14日前後で家賃が発生します。そのため5/1に内 見、申し込みをした場合は5/15頃に家賃が発生するので約半月分は現住居と新居で家賃の重複 期間が発生し、もったいないから嫌だと思われる方もいらっしゃいます。重複期間が派生する ことに強い嫌悪感がある方は基本的に引っ越さずにそのまま更新することをおすすめさせてい ただきます。
重複期間をなくすために5/15頃から内見・申込をすることは可能ですが、審査に約7日程度を 要し、審査落ちしてしまった場合は5/22から新たな物件探し、申込を行うことになります。 その際にまだ市場に6/1までに入居可能かつ、お客様が気に入る物件が存在するかの保証がで きません。
スーモやホームズに新着情報が載るタイミングは基本的に現住人が解約届を出したタイミング です。大体の物件が解約予告1ヵ月(最近は2ヵ月も多い)となっているので、新着募集が出た 日から約1ヵ月は内見不可です。

入居可能日まで考慮すると退去後14日程度は見込んでおくべ きです


不動産賃貸のお金の流れ

ここでお金についても見ていきましょう。仲介会社の収入は基本的に仲介手数料のみ。仲介手 数料は家賃+消費税が上限と定められており、多くの会社が上限で設定しているので家賃の1 か月分が仲介手数料として必要と認識されています。
例外としてオーナーからいただく報酬があります。呼び方は広告料やADなどさまざまです が、今回は広告料と呼ばせてください。内容としてはシンプルにオーナーから入居者様を見つ けてくれたことへのお礼だと思っていただいて構いません。東京23区内の物件は50%近くの 物件に広告料が付いているような感覚です。
オーナーがわざわざ広告料を付けるということは、良くない物件?とよく思われますがそんな
ことはありません。特に法人オーナーや投資目的の比較的若いオーナーは積極的に広告料を付
けますし、私自身も担当オーナーには極力広告料をつけた方が良いと提案しています。
仲介の営業マン目線からすると広告料アリ(家賃1か月分)のA物件と広告料なしのB物件でお 客様が迷われた場合にはどちらを強くおススメするでしょうか。そもそも広告料ナシ物件はお 客様に提案されないことすらあります。また、広告料が1ヵ月の場合、空室が1ヵ月続くのと広 告料を支払うことで営業マンに優先して提案してもらうことですぐに満室になる確率も踏まえ て判断されるので、広告料付き物件=悪とはとても言い切れません。
また近年のネット情報を見て質問される初期費用の水増しについてですが、ほとんどあり得ま せん。火災保険や除菌消臭・24時間サポートは原則、仲介会社ではなく管理会社へ入金され ます。手付金を申込時に求められる物件も注意!といった内容を見かけますが、こちらについ ても管理会社にそのまま渡すだけなので、嫌であれば物件候補が減るだけです。


仲介手数料半額・無料の理由
最近WEBCMや街中で見かける仲介手数料「半額」や「無料」という文言。これは原則、どこ の会社でもできるサービスです。まず、ルールとしてお客様からいただく仲介手数料は賃料+ 消費税と定められていますので、範囲に収まっていればなにも無料であろうといくらでも構い ません。
ただ、仲介手数料無料で利益を出すためには先ほど述べたオーナーからの報酬(広告料)を確 実に得る必要があります。そのため、仲介手数料「半額」や「無料」を謳う業者さんは基本的 にオーナー広告料付き物件に絞って提案されることになります。本来は基本的にどこの不動産 会社で探しても同じWEBサイトで探すのでヒットするので提案される物件も変わりません が、検索段階で広告料付き物件に絞れば必然的に母数が減る感覚です。

とにかく、物件情報は基本的にどこの不動産会社に行っても変わりません。どんな業者に行く
べきかと聞かれますが友達や知ってる人にお願いするのが良いとしか言えません。


ネット情報の真偽
ネット情報を信じて損する人が増えてきてると思います。良い物件に断られ、良い仲介会社か
ら見捨てられています。ネットを見ると昭和時代に行われていたようなことが今も起きている
かのように書かれています。なぜ良い物件に断られるかについてはこの後の審査についての部
分で詳しく述べます。
ちなみに、仲介会社から見捨てられてしまうケースはそこまで多くはないかもしれませんが存在します。 理由としてはあまりに交渉の激しい方だったり、ネット情報をもとに理解不能な要望を受け付けたりするケースです。真摯に向き合っている営業マンであればあるほど理不尽なお客様を相手できなくなってしまいますし、その必要もなくなってきます。


冒頭で述べたように仲介会社への報酬は原則、仲介手数料です。
ネットにはさまざまなことが書かれています。

・家賃交渉しろ
・相見積もりを取れ
・初期費用をだまし取られるな
・その場で申し込むな


他にも書けばきりがありません。
まず、先ほど述べたように仲介会社の収入は仲介手数料です。仲介会社がわざわざ初期費用を水増ししたり、わかりづらくしたりするメリットがありません。家賃交渉はお客様に言われなくても営業マンが勝手に行うことが多いです。喜んでもらってご紹介をいただきたいためです。ひと昔前まではたしかに家賃交渉を前提に家賃が高めに設定されていたかもしれませんが、今そのようなケースは少ないです。お客様がネット検索する際に入力した家賃を超えたものは画面に表示されない機会損失を考えて、最初から低い金額で募集に出す方が効率的と思わ
れます。お申し込みについても気に入った物件を見つけてその瞬間に申し込まないメリットが不明です。特に土日は案内中に別申し込みが入ることも珍しくありません。
とにかく、相手を疑ったり過剰な要求をすることで営業マンから有益な情報やサポートが返ってくるとは思わない方が良いです。そもそもコミュニケーションを円滑に取ってスムーズなやり取りができるお客様には必然的に営業マンは最大限のサービスをします。当然かもしれませんが、気持ち良い対応をしてくれたお客様は周りからの信頼が厚く、その後のご紹介にも繋がります。
不景気のせいかもしれませんが、とにかく交渉をしようという考えが返って損失に繋がっているケースを見るたびに残念だなと思ってしまいます。


審査について
お部屋を借りる際に避けられない審査があります。今は連帯保証人を立てることは少なく、保証会社へ加入することが一般的です。保証会社、オーナー、管理会社の審査で見られる点は異なります。それぞれの抱えるリスクについて説明します。
まずは、保証会社について。現在は連帯保証人システムを採用する会社は少なく、保証会社必須がほとんどです。連帯保証人のような立ち位置となるため、契約者の家賃滞納がリスクです。次にオーナー。家賃は保証会社から入金されるのであまり心配ごとではありません。近隣トラブルを起こすような方の入居がリスクです。最後に、管理会社。入居者のクレーム対応に手間どられることがリスクとなります。
上記の通り、保証会社としては家賃さえ滞納されずに支払われれば問題ありません。過去の金融事故等を重点的に確認し、人間性の部分はそこまで見ていない傾向があります。一方、管理会社やオーナーは人間性の部分を気にします。ここでお部屋探しをするお客様と実務のイメージの差が大きく発生する気がします。


まずオーナー審査について。お客様としては、自分が部屋を借りるんだからオーナーはありがたいでしょう?と思われることがすごく多いです。実際にその通りで、入居者がいないとオーナーはキツいです。ただ、それと同時に、何億円も負債を抱えた自分の建物に対して思い入れが強いのも事実です。そのため良い人に気持ちよく借りていただきたいと考える方が多いです。厄介な方の要求で余計な費用を支出したり近隣トラブルで周りの入居者様が退去されてしまうことは悩みのタネとなります。そのため、あまりにも交渉が多かったり神経質な方は後々
のクレームを考えて敬遠されます。


そして管理会社審査について。管理会社は特にお客様の人間性を見ています。免許証の写真も意外としっかり見ています。管理物件のクレーム対応も管理会社の業務の一つであり、できる限り避けたい業務です。空室が続くのは当然イヤですが、変に目を瞑って審査を通してしまうと後悔することになります。そのため電話での本人確認時の印象はしっかり確認しておりまし たし、あまりにも交渉が多い方はオーナーへの報告時もありのままに伝えて極力審査NGとし ていました。
絶対に交渉しないべきとは言いませんが、スムーズなやり取りをしてくれるお客様には仲介の営業マンが勝手にできる限りのサービスをしてくれていることが多いです。契約前に細かいことを言って心象を悪くするよりも、担当者と気持ちの良いやり取りをした方が良い結果に繋がる可能性が高いと思います。
交渉はあまりしすぎない方が良いと述べましたが、強いて言うなら火災保険と更新料は積極的に交渉しても良いと思います。火災保険は今は最低限の項目を満たせばお客様自身で好きな会社で加入が可能です。更新料は、初期費用ではありませんが、更新時にダメもとで「引っ越しを検討しているが更新料を半額等にしてもらえれば更新したい」と伝えてみるのは良いと思います。


物件検索のベストな方法
今はお宝物件など存在しないとの前提で、スーモやホームズで物件検索し、気になる物件を知り合いに内見させてもらうのがベストです。知り合いがいなければ紹介してもらうか、最悪はスーモの物件ページからの問い合わせです。
一般向けのスーモやホームズは検索条件が操作しやすいため、好きなように条件を変更しながら検索するのが良いと思います。ただ、一般向けサイトの懸念点は囮広告が多いことなので担当者に精査してもらいましょう。これが最も取りこぼしのない検索方法です。


ぜひ、みなさんがいい物件と出会えることを期待しています。

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